26 (22年行ウ2号 住民訴訟:違法採択教科書購入費返還請求事件) 
                              提訴
(10.05.19)

原告:7名 被告:今治市・市教委ら6

訴えの要旨

教育委員らは、「採択権限は、教育委員会にある」と委員らの独自の評価にもとづき、現場教員らが教科書を調査研究した資料において極めて評価が低い扶桑社版(歴史・公民)を、採択(争点参照)。同採択の無効確認、取消し、公正な採択環境確保の措置の怠る確認、違法な採択にもとづく教員用同教科書購入費は、違法であると、違法な採択を行った教育委員らに、同費用の補填を求める賠償命令請求を怠る違法確認、同損害賠償請求の賠償命令の請求など。

提訴の目的

育鵬社版教科書の採択の取消し、同採択を困難にすること、適正手続の制度化。同教科書の問題に指摘。

監査

今治市監査委員に住民監査請求(10.2.24、内容は訴訟と同じ)→補正→受理(10.3.9)→請求人陳述(10.4.5)→市教委への聴聞(10.4.14)→監査結果:棄却(10.4.20)→不服として松山地裁に提訴(10.5.19

10.2.24

提訴

裁判長:加島滋人  書記:K

10.5.19

 

補正命令(10.6.15)→補正を提出(10.7.13

 

 

訴訟手数料の不足分(8000円)の納付命令(提訴の際、受付で、請求の趣旨が7点あるとして、48000円?の手数料も求めてきた。
これに対して、住民訴訟の趣旨にもとづき、算定が極めて困難な160万円に対する13000円の印紙代金しか納付しないとこれを拒否。後日その根拠資料を提出。その結果、算定が極めて困難な160万円の2点訴えとし、訴訟の目的の価格を320万円とし、その差額、8000円の収入印紙の納付を求めてきた。)原告らの主張をほぼ認めたので、8000円納付。  
上記の訴額決定に関する裁判所からの事務連絡-PDF

10.12.6

1

原告/訴状、準備14、証拠119/答、証拠1,2(これまでの他の裁判では1時間程度→時間30分程度に制限し、原告らの法廷での追及を制限、加島方式参照)
第1回口頭弁論調書

11.3.8

2

原告/準備520 証拠2046
被告/準備1 (同上:弁論時間30分程度)
第2回口頭弁論調書

11.7.5

3

原告/準備2130  証拠4756
被告/準備2 (同上:弁論時間30分程度)
第3回口頭弁論調書

11.10.25

4

原告/準備3154 証拠6069
被告/準備3 (同上:弁論時間30分程度)
第4回口頭弁論調書

12.1.31

5

原告/準備5567 証拠7073
被告/準備4 (同上:弁論時間30分程度) 結審(突如結審、判決日の指定できず。調書には、「次回期日追って」とある。判決日の通知なし、13.1.9時点)
第5回口頭弁論調書

12.3.27

 

弁論再開申立(12.4.3)、5回調書異議申立(12.4.18)、弁論再開申立(12.4.18)、準備書面(68提出、12.4.18)、弁論再開申立(12.4.20)弁論再開申立(12.4.26)、弁論再開の時期についての求釈明(12.6.25)、

 

 

判決日の通知(13か月放置していきなりの通知) 

2013.3.29 

判決 違法公金の補填などの訴えを却下、損賠賠償などを棄却    判決文 2013.4.23
控訴 判決を不服として、高松高裁に控訴 2013.5.8
 高1 控訴人/ 控訴理由書(1)〜(9)、準備書面(69)〜(91)証拠甲74〜83号証
被控訴人/答弁書 結審(突如の結審)
 2013.10.11
 判決 請求をいずれも棄却  2013.12.17
 告発  高松高裁裁判官を被告発人として、訴訟指揮における公務員職権濫用罪を理由に、刑事告発  2013.12.26

問題点・特長 

*主権実現手段としての訴訟闘争

原告らは、これまでの訴訟行為をとおして、原告らの裁判を受ける権利の一つとして、1時間程度の口頭弁論時間を確保してきた。そして、その口頭弁論なかで行政寄りの訴訟指揮などを追及しながら、被告らの採択の違法を明らかにしようとしてきた。

しかし、この取り組みの効果は、判決結果に反映される状況には至っていない。

*訴訟の効果

訴訟のなかで、採択における様々な適正手続違反の追及によって、たとえば、

1、非公開であった採択審議の公開、

2、選定資料の採択前の公開、

3、全現場教員らによる教科書調査研究資料を作成と同資料を採択の際の参考資料とする、

などと採択手続きが改善されてきた。

 このような採択の適正手続化を進めることが、

4、採択への政治介入を制限し、

5、より適切な教科書が、選定させる環境を確保することになり、

6、その結果として、「つくる会」系教科書の採択が制限される

との認識により、次々と裁判を起し、教科書記述の問題点の指摘と合わせて、採択手続きの適正化を求めてきた。

*原告らの追及を制限する裁判長(加島方式)

訴訟における原告らの追及が続くと?訴訟進行に影響を及ぼす、?しかし、濱口方式の強権的訴訟指揮を採用すると原告らに国家賠償などなどで訴えられ、それは裁判官キャリアー上得策ではないと総括したのか、?加島裁判長は、弁論時間を30分程度に制限し、原告らの問いや追及には応答せず、無視し、原告らの追及などをかわしつつ、強引な訴訟指揮であると訴える要因を最小限に抑えるという訴訟指揮を採用(加島方式)。 

*住民訴訟の効力

 結審を困難にしているもう一つの要因は、この裁判は、住民訴訟(客観訴訟)であり、これまでの抗告訴訟(取消し訴訟・主観訴訟)のように、原告適格などの訴訟要件を理由として、訴えを退け難くく、採択の違法の有無を法廷で審理する必要がある(法性の継承:注2)。

違法な採択を正当化する必要がある被告らの主張は、必然的に矛盾を来たし、この矛盾追及により、被告らの主張の二転三転。この状況によって、被告寄りの訴訟指揮を行う裁判長も結審できず、5回の口頭弁論を開くことを余儀なくなった。

加島方式により、審理を強引な訴訟指揮で打ち切ることのためらいがあったと思われるが、これ以上、この状態が続くとまずいと判断し、第5回で突如、強引に結審。しかし、加島裁判長は、結審することだけに気と取られ、慌てて結審し、判決日を言い忘れ退席。2012.3.27に結審しながら、未だに判決日を指定できず(2013.1.26)。 

2:違法性の継承

地方公共団体の主権者たる住民全体の利益を守るという住民訴訟制度の目的に照らせば、違法性の判断を、一連の行政手続・行政行為の中から財務会計上の行為のみを取り出して、その財務会計規則違反の有無だけを評価するべきではなく、財政会計上の行為とその原因となった行為を一体としてとらえて評価すべきであるとし、財務会計規則違反がなくとも、原因先行行為の違法性を引き継ぎ、その結果、後行行為としての財務会計上の行為も違法性を帯びる場合があるとすること。 

争点

 @違法性の継承:注2、A先行行為(採択)と後行行為(財務会計行為)との直接の関係性、B先行行為の処分庁は教育委員会、後行行為の処分庁は市であることから、独立した機関の市教委の判断を尊重するという原理を理由に、先行行為が、著しく社会通念を逸脱した場合において、後行行為の公金支出が違法とすることの妥当性(→財政立憲主義の原理からするとこの原理は、本末転倒で、先行行為の違法を許容することになる。

 つまり、戦前の教育制度(国家が教育を完全に支配)の反省にもとづく、
 1、教育の地方分権(教育の中央集権の反省)、
 2、地方自治体の一般行政からも独立した教育行政機関としての教育委員会制度)、
 3、教育をつかさどるのは各教科の専門知識を有する教員制度(専門性を有しない一般行政の長などが行っていた反省)
 この大枠が戦後教育制度の原理である。独立した教育機関の判断を尊重することは、2の原理であるが、本件の採択の核心は、3を教育委員らが無視し、教育現場に介入し、委員らの評価を押し付けたことの違法性である。この原理を棚に上げ、2の原理で、教育委員らの違法行為を免れようとしている。

 つまり、教育条理に反し、また、本来の立憲主義に反し、市民の行政権力の追及を制限するための方便である)。C採択権の所在(教育委員の独自の評価で、教員等の評価を無視して採択することは、委員らの裁量権の逸脱)D採択が処分行為である否か。

上記のPDF版
原告
 松山地方裁判所      
訴状 28-1-1
準備書面(1) 適正手続違反 1
準備書面(2) 審理契約 2
準備書面(3) 採択と教科書の関係 3
準備書面(4) 処分行為について 4
準備書面(5) 求釈明 5
準備書面(6) 釈明処分申立 6
準備書面(7) 7G
準備書面(8) 公正な採択環境義務違反 8
準備書面(9) 憲法等に反する教科書 9
準備書面(10) 適正手続-2 10
準備書面(11) 採択は公共入札 11
準備書面(12) 求釈明 12
証拠申出書 13
準備書面(13) 検定違憲・違法について 13
準備書面(14) 求釈明 14
準備書面(15) 求釈明 15
準備書面(16) 被告準備書面への反論-採択について 16
準備書面(17) 被告準備書面への反論-採択審議について 17
準備書面(18) 被告準備書面への反論-採択について 18
準備書面(19) 証拠乙への求釈明 19
準備書面(20) 被告準備書面への反論の準備について 20
準備書面(21) 被告準備書面(1)への反論
財務会計行為の適正権保のための多重自己点検の義務の不作為について
21G
準備書面(22) 被告準備書面(1)への反論
本件採択と本件図書の購入との関係
22G
準備書面(23) 被告準備書面(1)への反論
予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存在することについて
23G
準備書面(24) 被告準備書面(1)への反論
本件教科書を採択するための被告今治市教委の違法な画策と本件教科書の違憲・違法・不正な採択
24G
準備書面(25) 被告準備書面(2)への反論
本件採択が、違法である主たる理由は、採択の適正手続きに反すこと等であり、原告らの思想、信条に反する教科書であるということでなく、子どもたちとって、適切な教科書でないということである
25G
準備書面(26) 被告準備書面(2)への反論
採択権限が教育委員会にあると明記する法令は存在せず、子ともたちが使用する教科書を選定・採択する際には、教育条理からも教員らの評価を無視してはならないこと
26G
準備書面(27) 被告準備書面(2)に対する求釈明など 27G
準備書面(28) 「被告 準備書面(2)」の『第5 会議における決定の仕方について』に対する反論 28G
準備書面(29) 被告「準備書面(2)」の『第3 単に原告らの思想、信条を述べているだけにすぎない』に対する反論 29G
準備書面(30) 求釈明 30G
準備書面(31) 本件採択「公民教科書」は、日本国憲法及びそれに基づく戦後民主主義教育原理に反しており、子どもたちにとって適切な教科書ではない 31G
準備書面(32) 採択協議会の「答申」と異なる教科書を採択したことは、違法であること 32G
準備書面(33) 被告準備書面(3)への反論
違法性の承継について
33G
準備書面(34) 被告準備書面(3)への反論 その2
本件採択が、本件図書購入の直接的原因であること
34G
準備書面(35) 被告準備書面(3)への反論 その3
いかなる図書をどのくらい購入するかは,市長の広範な裁量に委ねられていないこと
35G
準備書面(36) 被告準備書面(3)などへの反論 その4
本件財務会計行為は、財務立憲主義原則に即すると、予算執行に適正確保義務違反がある
36G
準備書面(37) 被告準備書面(3)への反論 その5
本件財務会計行為には、裁量権を逸脱又は濫用がある
37G
準備書面(38) 被告準備書面(3)への反論 その6
被告準備書面には、原告準備書面への具体的反論がなく、それは、原告の主張の整合性を示している
38G
準備書面(39) 採択協議会の答申が、採択を拘束すること 39G
準備書面(40) 被告準備書面(3)への反論 その7
本件支出に対して損害責任を被告及び相手方は負っている
40G
準備書面(41) 被告準備書面(3)への反論 その8
本件支出に対して被告ら及び相手方公務員らは,損害責任を負っていること
41G
準備書面(42) 被告準備書面(3)への反論 その9
「原告準備書面(30)求釈明」への「被告の回答」に対する反論
「被告の回答」は、「本件採択は適法との被告の主張」の根拠が失われたことを示している
42G
準備書面(43) 被告らへの求釈明および要求 43G
準備書面(44) 行政事件訴訟法第23条の2に基づく「釈明処分の行使」を求める 44G
準備書面(45) 「本件購入と本件採択との関係」についての被告の虚偽の主張への反論と<求釈明> 45G
準備書面(46) 被告準備書面(3)への反論 その11
本件財務会計行為には、裁量権を逸脱又は濫用があり、違法である
46G
準備書面(47) 「平成22年度 中学校教師用教科書・指導書の購入について(事前伺)」などに関する求釈明 47G
準備書面(48) 行政事件訴訟法第23条の2の釈明処分行使の求め
事前伺いについて
48G
準備書面(49) 準備書面(43)と同じ
準備書面(50) 準備書面(44)と同じ
準備書面(51) 準備書面(45)と同じ
準備書面(52) 準備書面(46)と同じ
準備書面(53) 準備書面(47)と同じ
準備書面(54) 準備書面(48)と同じ
準備書面(55) 行政事件訴訟法第23条の2の釈明処分行使により、被告準備書面(3)の引用(高裁判決文)の全文提出の求め 55G
準備書面(56) 口頭弁論主義・双方審尋主義に反する裁判長の訴訟指揮
口頭弁論主義・双方審尋主義に基づく充実した審理の求め
56G
準備書面(57) 本件を最高裁判決に当てはめた被告主張は、妥当ではない 57G
準備書面(58) 裁判長による<釈明処分の行使>を再度、求める 58G
準備書面(59) 「準備書面(45)」の内容に関して、裁判所・裁判長らに「釈明権の行使」を求める 59G
準備書面(60) 本件財務会計行為には、裁量権の逸脱又は濫用があり、違法である 60G
準備書面(61) 被告準備書面(4)への反論
「事務に必要」から「教育現場において必要」との被告準備書面の訂正について
61G
準備書面(62) 被告は、本件採択において「採択資料」を用いなかったことを認めた
「被告準備書面(4)第4の1」の意味するもの
62G
準備書面(63) 次回口頭弁論において「原告・被告間での質疑時間」を確保することを裁判長に求める 63G
準備書面(64) 被告準備書面(4)の「求釈明に対する回答」などへの反論
本件図書の購入における違法な財務会計行為
64G
準備書面(65) 被告準備書面(4)への反論
先行する本件違法採択が、本件図書の購入の直接の原因であること
65G
準備書面(66) 被告準備書面(4)の「採択地区協議会の採択は何ら教育委員会の答申を拘束しない」への反論と本件採択の違法性について 66G
準備書面(67) 原告準備書面(65)の追加として 67G
準備書面(68) 口頭弁論における質疑時間を再度求める 68G
弁論再開申立 69
検定に関する意見書 嶋伸欣琉球大学名誉教授の意見書
「本件教科書の検定の違法性と今治市教委の採択の違法性について」

上記-意見書から扶桑社版の間違いの具体的な記述一覧
22



23
2011.7.5-傍聴呼びかけチラシ A1
       
被告
答弁書 B1
準備書面(1) B1G
準備書面(2) B2G
準備書面(3) B3G
準備書面(4) B4G
裁判所
事務連絡 S1
第1回口頭弁論調書 1T
第2回口頭弁論調書 2T
第3回口頭弁論調書 3T
第4回口頭弁論調書 4T
第5回口頭弁論調書 5T
判決文(地裁) S2
 高松高等裁判所  
 控訴人      
控訴状 70K
 控訴理由書(1)  審理不尽、事実誤認、理由不備、齟齬 その1    71k
 控訴理由書(2)  公金支出無効確認など    72K
 控訴理由書(3)  適正手続など    73K
 控訴理由書(4)  事実誤認    74K
 控訴理由書(5)  本件資料の複写費用に関する判示の事実誤認    75K
 控訴理由書(6)  本件図書購入事務手続きの事実誤認など    76K
 控訴理由書(7)  財務会計行為に関する判示の事実誤認    77K
 控訴理由書(8)  賠償命令に関する判示の事実誤認    78K
 控訴理由書(9)  看過し得ない瑕疵に関する判示の事実誤認    79K
 準備書面(69)  控訴理由書(1)に係る審理不尽    69G
 準備書面(70)  控訴理由書(1)に係る審理不尽(2)    70G
 準備書面(71)  控訴理由書(1)に係る審理不尽(3)    71G
 準備書面(72)  控訴理由書(1)に係る審理不尽(4)    72G
 準備書面(73)  控訴理由書(3)に係る適正手続    73G
 準備書面(74)  控訴理由書(5)に係る資料複写    74G
 準備書面(75)  控訴理由書(6)に係る図書購入事務手続き    75G
 準備書面(76)  控訴理由書(3)に係る適正手続    76G
 準備書面(77)  控訴理由書(9)-看過し得ない瑕疵に関する判示の事実誤認    77G
 準備書面(78)  控訴理由書(9)-看過し得ない瑕疵に関する判示の事実誤認    78G
 準備書面(79)  控訴理由書(3)に係る適正手続 判決7(2)Bの反論    79G
 準備書面(80)  控訴理由書(3)に係る適正手続 判決7(2)Aの反論    80G
 準備書面(81)  控訴理由書(6)に係る図書購入事務手続き    81G
 準備書面(82)  控訴理由書(6)に係る図書購入事務手続き その3    82G
 準備書面(83)  控訴理由書(6)に係る図書購入事務手続きその4    83G
 準備書面(84)  控訴理由書(6)に係る図書購入事務手続き その5    84G
 準備書面(85)  控訴理由書(9)-看過し得ない瑕疵その1    85G
 準備書面(86)  控訴理由書(9)-適正手続きその2    86G
 準備書面(87)  控訴理由書(9)-適正手続きその3    87G
 準備書面(88)  控訴理由書(9)-適正手続きその4    88G
 準備書面(89)  求釈明    89G
 準備書面(90)  審査計画の求め    90G
 準備書面(91)  答弁書反論その1    91G
 証拠申出書      
     
被控訴人      
答弁書  控訴理由書(1)〜(9)反論。準備書面(69)〜(78)反論。    2T
       
 裁判所      
 第1回
口頭弁論調書
     T6
 高裁判決      S3
       
 高松高検に刑事告発状  高松高裁裁判官を被告発人として、訴訟指揮における公務員職権濫用罪を理由に、刑事告発   K1
       
       
       
資料
採択権限に関するまとめ 28-4-1
もどる
inserted by FC2 system